あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない

概要

高校受験に失敗したことから、人生の歯車が狂いだした宿海仁太(じんたん)の前に、事故で死んだ本間芽衣子めんま)が現れる。日々抱えているストレスがじんたんにめんまの幻想を見せているのかと思いきや、一向に姿を消さないめんま。そんなある日、めんまはお願いを叶えて欲しいとじんたんに頼むが、お願いの内容は覚えていないという。じんたんが前に進めるようなお願いが私のお願いかもしれないと言い、そのお願いを叶えるためにじんたんは休んでいた学校へ行ったり、事故をきっかけに散り散りになった幼少期の仲良しだったメンバーとの再会を果たす。しかし、めんまが見えるのはじんたんだけであり、じんたんがめんまの存在をほのめかしても誰も本気で信じることはなく、しまいにはゆきあつが怒り出したりと収集がつかない状態に陥ってしまう。これらの行動にはみんなが抱いている自責の念が影響している。みなんがばらばらになりそうなとき、めんまが自身の存在をほのめかすような発言をじんたん伝いで伝えたり、紙に文字を書いたり、蒸しパンをつくったりすることでみんなが次第にメンマの存在を信じるようになっていく。しかし、死んだはずのめんまがこの世にとどまっていることを良しとしない考えが広がり、無事に成仏できるようめんまのお願いを叶えようとする。幼少期にめんまと別れる前にやろうとしていた自作花火の打ち上げを決行することになる。みんなの行動とは裏腹にじんたんはめんまにこのままいてほしいという気持ちを抱えていた。花火打ち上げ直前で止めようとするが、花火は打ちあがり、無事にめんまが成仏したかと思いきや、そこには変わらずめんまの姿があった。なぜ成仏しなかったのか考える場面で、花火打ち上げの際にみんな自分のことしか考えていなかったことがみんなの口から明かされる。自分のことしか考えていない自分のことが嫌で、めんまのことが大好きなみんなはもう一度ちゃんとお別れしようと決意を固める。めんまをみんなのところに呼ぼうと家に戻ったじんたんが目にしたのはぐったりとして今にも消えてしまいそうなめんまの姿。必死におんぶして全力でみんなのもとにめんまを送り届けようとするじんたん。しかし、到着したときには既にめんまの姿が見えなくなってしまい、みんな森の中を探し回る。じんたんは足にいくつもの傷を負いながらも走り回り、メンバー宛の手紙を発見する。手紙には残り少ない力を振り絞って、みんなへの好きな気持ちを綴っていた。涙を流しながら読み終えたみんなは最後、めんまの姿が見えるようになる。みんながめんまのことを、めんまがみんなのことを思いやれる状態、これがめんまのお願いであり、それを見届けためんまはゆっくりと消えていった。

 

感想

幼少期に自分の気持ちを殺して、めんまに対して暴言を吐いた状態でお別れしてしまったじんたん。自分の昔を見ているようで、親近感がわいてしまう。しかし、高校受験の失敗で怠惰でだめだめになってしまったじんたんのヘタレ具合を見ていると、いらいらしてしまう。あなるからの一言、めんまからの後押しで学校へ行くことを決心したにもかかわらず、まわりからの言葉少しですぐ決心を曲げる姿などは目をあてられなかった。そのじんたんがめんまのお願いを叶えるために、いままでかかわることを避けていたかつての仲間たちと少しずつ心を通わすようになり、一つのことに向かって必死にはたらいたりして、成長していく姿は見ていて気持ちのいいものもあったりなど、展開としては飽きないものだった。最後にはみんなの気持ちが一つになり、めんまのことを必死に探す姿には心を打たれ、最後のみんなへの手紙に記された震えた字を見たときには、めんまの必死さが伝わり涙がこぼれた。じんたんへの好きという気持ちはお嫁さんになりたいという好きというところはたまらない。。。最後にはバラバラだったみんな一つになれる大団円で終わるため、感動的ですがすがしい観了感に包まれた。